Life is bitter

日常生活で考えたことやデザイン・写真・インテリアをはじめとした役に立ちそうな知識をまとめて記しています。

IT業界で5年後も活躍できるデザイナーであるために学ぶべきこと

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デザイントレンドや技術トレンドの移り変わりが激しいIT業界。
5〜10年も経つとPCサイトメインだったものがほぼスマートフォンサイト・アプリメインに置き換わったようにプラットフォームすら変わってしまいます。
UI設計やDTPをはじめとした今持っているスキルセットのままで果たして5年後も通用するのか自問自答したところ、私はどう考えても無理だと感じました。

実のところを言いますと私は来春から東京でUXデザイナーとして働きはじめるのですが、事業会社におけるUXデザイナーということで売上や成果に対して数字でコミットすることが求められます。
そして、成果に対してコミットするためにはただきれいなUI設計ができたりかっこいいビジュアルが作れたりというだけでは全く歯が立ちません。積極的に自分のスキルの幅を広げていく必要があり、デザインだけではない+αのスキルと主軸となるデザインスキルとの掛け算ではじめて価値が生まれ、成果を出せると考えています。

そこで、今回は私が今後何を学んでいけばよいか・学びたいかの整理を通じて、IT業界で5年後も活躍できるデザイナーであるために必要だと考えられるスキルは何であるか、そしてどうそのスキルを身につければよいかまとめてみました。

  • Google Analytics / Adobe Analyticsによるアクセスおよびログ解析
  • 仮説設定・検証を目的としたA/Bテスト
  • コピーライティング
  • HTML/CSS/JavaScript/PHP
  • Swift/Java/Kotlin
  • ユーザーリサーチ(デプスインタビュー/エスノグラフィー調査/ユーザビリティテスト/定量・定性調査)
  • 多変量解析(数量化理論/重回帰分析/クラスター分析/因子分析/共分散構造分析)
  • IA(Information Architecture/情報設計)
  • 次世代プラットフォームでの開発(VR/MR/AR)

ざっくりとまとめると以上の9個になります。詳しく解説していきます。

アクセスおよびログ解析

Google AnalyticsやAdobe Analyticsをはじめとした解析ツールによるアクセスやログの解析は今やマーケターだけでなくデザイナーもできなければなりません。WEBサイトあるいはアプリがどういった行動フローで利用されているか、コンバージョンのボトルネックとなっている箇所はどこか、ターゲットセグメントはどういったテイストを好むのか、施策を打つときの仮説設定のベースを探すなどあらゆる場面で必要となっており、デザイナーはログから得られた情報を元にクリエイティブへと落とし込みます。

導入コストが限りなく低いため一般的にもっとも利用されている解析ツールはGoogle Analyticsですが、大きな事業会社やデジタルマーケティングに特化した会社などではより高度な解析ができるAdobe Analyticsが使われているかと思います。
では、どちらを使えるようになればいいかと言いますともちろん両方なのですが、導入されている総数から言うとまずGoogle Analyticsからはじめるのが良いでしょう。
個人的に解析ツールで最強なのはAdobe AnalyticsのAd Hoc Analysisだと思ってます(独自指標とフォールアウトが本当に素敵!)。

Adobe Analyticsはエンタープライズ規模以上での利用を想定されているので必然的に導入するのがある程度規模がある会社となります。よって個人で実際にデータを取りつつAdobe Analyticsの使い方も勉強するということができません。というわけでGoogle Analyticsを学びましょう。

具体的にはブログ等を運営し、そこにGoogle Analyticsを導入するのが一番早いです。生のデータが取れつつレポートを眺めて改善点を洗い出し、それをブログに還元して施策を打つ、そしてまたレポートを眺める、というサイクルを体験できます。
ブログの場合、何をコンバージョンとみなすか問題があったりしますがレポートの見方がわかるだけでもスキルとしては十分ではないでしょうか。

Google Analyticsの導入方法や使い方は情報が充実していますので、書籍を買うほどではないかなという人も検索してみると上のサイト以外にも有用なものはたくさん出てきます。

A/Bテスト

仮説を立てて課題を明確にし、それに対して施策を打つという一連の流れの中でどの打ち手がもっとも効果的か検証するために必要なA/Bテスト。よく見られるのはバナーでのA/Bテストですが、こちらもマーケターに丸投げするのではなくデザイナーが制作から検証まで全てできると一人でPDCAサイクルを素早く回すことができるようになります。

ツールとしてはVisual Website Optimizer、Optimizely、Kaizen Platformの3つがメジャーかと思いますが、問題点はどれも無料ではじめられず、導入コストがそれなりにあること。頑張って探してみたのですが無料のA/Bテストツールはないみたいです…。ということで個人でノウハウを蓄えていくことは難しいため現場で実際に触れてみて使い方を身に着けていくしかありません。ログ解析の部分と少し被ってくる領域です。

コピーライティング

コンテンツ中の文言はCTRやCVRに直接そして大きく影響してきますが、そこで重要となってくるのがコピーライティングスキルです。ブログやオウンドメディアでの長文記事執筆となればもちろんライターに依頼すると思いますが、デザイナーが必要なのはバナーやランディングページ(LP)などにおけるクリックさせるためのちょっとした文言のセンスです。

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例えば、通販サイトでユーザーに商品をカートへ追加させたいとき「購入する」「カートに入れる」「商品を追加する」と違った文言でボタンを作ると、たったこれだけでコンバージョン率は大きく変わってきます。

実際にはA/Bテストを実施してどの文言がもっとも効果的か検証しますが、バナーやLPを制作するときにそのコピーの文字数や言い回しによって「文字数多いしちょっと詰め気味の配置にしよう」「このコピーならもっとダイナミックに見せてもいいかも」とある程度方向性が見えるので最初からデザイナーが良いコピーライティングをできるとスムーズに制作が進みます。

コピーライティングに関するノウハウは書籍がもっとも充実しています。

10倍売れるWebコピーライティング ーコンバージョン率平均4.92%を稼ぐランディングページの作り方

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沈黙のWebライティング ?Webマーケッター ボーンの激闘?〈SEOのためのライティング教本〉

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実践的に身につけるなら、ブログよりもアフィリエイト運営の方が数字としてシビアに結果が表れるのでおすすめです。

HTML/CSS/JavaScript/PHP

常々私が勉強しなければいけないと考えているのがWEB周りの実装言語。
このブログやWordPressでポートフォリオサイトを作ったりしているので、全てレファレンスを見ながらある程度は書けるのですが、ゼロベースではちょっと無理なのが現在の私の状態です。

紙媒体でのグラフィックデザインが源流で今に至るので、レイアウトやデザインといったところでは既にWEB制作であったとしてもクライアントワークで十分通用するとは思うのですが、肝心の実装ができないのでせっかく来た仕事をお断りしてしまうことも...。

というわけでグラフィッカーの人間にとってはこのHTML/CSS/JavaScript/PHPを身につければかなり強い武器になるのですが、スキルを身につける方法としては実際にサイトを制作していくしかないと感じております。

もしくはお金の力でTECH::CAMPにて効率よく徹底的に叩き込んでもらうか。

また、個人的にHTMLやCSSを身につけるメリットとしてWEBサイトだけでなくアプリも制作できるようになることかなと思ってます。

Monacaでアプリ開発している人とか結構いますし。
兎にも角にもプログラミングはまず手を動かさなければ何も経験値を得られません。なのでひたすら実際に制作することがスキルを身につける近道です。

Swift/Java/Kotlin

ネイティブアプリ開発に必要なSwift/Java/Kotlin。Kotlinは最近になってAndroid公式言語になりましたね。
UIデザイナーは画面設計をしてデザインに落とし込み、Prottなどである程度のプロトタイピングをする、というところまで1セットで行って実装をエンジニアへ投げますが、デザイナーもある程度SwiftやJavaを扱えた方が開発が格段に効率よくなります。

本当にデザインしかできず一切コードを弄れないデザイナーですと「この部分の角丸をやっぱり2pxから4pxにしたい」「ここのマージンやっぱり20%がいい」といったディテールを詰めていくときに一々エンジニアへ修正依頼をしないといけませんが、ちょっとUIに関わる部分でのコードが書けたりライブラリを扱えるだけでその分の工数が減るわけです(体験談)。

減った工数分をクオリティアップや新機能開発に費やせるので、チームとしてのパフォーマンスは上がり、事業会社におけるUIデザイナーという視点から見るとそれが理想的な状態かなと思います。

現在私もSwiftをちょっと勉強しているのですが、こちらもクソアプリでいいので実際に手を動かしていくことが身につけるための近道です。

schooなどである程度入門してからあとは逐一作りたいアプリベースでチュートリアルを見るなりライブラリを漁るなりするのが早いかなと思います。

ユーザーリサーチ

デプスインタビュー、エスノグラフィー調査、ユーザビリティテスト、各種定量・定性調査といったユーザーリサーチのための手法はもはやリサーチャーだけでなくデザイナーも知っておくべき知識となりました。

と言いますのもデザイナーはあくまでも見た目がきれいなものを作る人間ではなく如何にして問題解決をするかその方法を模索する、あるいは物事の価値を最大化させる人間のことを指します(少なくとも私はそう思っています)。

そして問題解決および価値の最大化を実現するためには対象となるユーザーのことを定量的・定性的に知る必要があり、そこから本質的な課題は何であるかを見極めます。

徹底的なユーザーリサーチはUX領域では既に当たり前の考え方ですが、どんな分野であってもデザイナーとして普遍的なスキルのひとつではないでしょうか。

ネット上の情報には具体的にどういった手法がありどう実践すればいいのか体系的にまとまったノウハウがないのでリサーチ環境がある現場で先輩から教わるか書籍で勉強し、実践しましょう。

ユーザーインタビューをはじめよう ―UXリサーチのための、「聞くこと」入門

ユーザーインタビューをはじめよう ―UXリサーチのための、「聞くこと」入門

  • 作者: スティーブ・ポーチガル,安藤貴子
  • 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
  • 発売日: 2017/06/23
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

こちらは6/12現在まだ発売されていませんが、デプスインタビューの手法に関しては非常に参考になりそうです。

一人から始めるユーザーエクスペリエンス

一人から始めるユーザーエクスペリエンス

  • 作者: 長谷川敦士,深澤大気,森本恭平,高橋一貴,瀧知惠美,福井進吾,遠藤茜,齋藤健,柴田宏行
  • 出版社/メーカー: 丸善出版
  • 発売日: 2015/07/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログ (1件) を見る
 

UXリサーチの取っ掛かりを見つけたいという場合はこちらの本がおすすめ。

エスノグラフィー入門 <現場>を質的研究する

エスノグラフィー入門 <現場>を質的研究する

 

そもそも対象とするユーザーについて定性情報が少ないときに用いられるエスノグラフィー調査はかなり工数を取られはするのですが良質な情報を得るにはかなり良い手法。是非とも知っておきたいリサーチ方法です。

多変量解析

数量化理論、重回帰分析、クラスター分析、因子分析、共分散構造分析などなどいわゆる統計的な解析やデータマイニングといった分野も押さえておきたいスキルです。ユーザーを定量的に分析して課題を抽出する、あるいはターゲットの傾向に有意差があるかどうか判断する、仮定が正しいのか検討したりある事象や傾向をモデル化するときに利用します。

個人的には定性的なユーザーリサーチと対をなすレベルで重要なスキルだと思っています。デザイナーでこうした多変量解析を体系的に身につけられる機会はそうそうないのですが、事業会社ではユーザーからアンケートを通して非常に質の良い量的データを得られる環境にあります。このデータは言わば宝の山であり、多変量解析を行うことで定性調査ではわからないような課題も抽出することができます。

具体的にはExcelやSPSSを駆使してデータ解析を行いますが、まず肝心なSPSSが非常に高価なソフトであること(持っているのはデータマイニングをする人や研究者くらいでしょうか)、そして個人では元となるデータを得ることが難しい点から習得するのは至難の業です。

https://cran.r-project.org/

まずはフリー解析ソフト「R」でデータ解析入門がおすすめです。

Rによる統計解析

Rによる統計解析

 

Rに関してはネット上にも情報はありますが、書籍による解説がもっともわかりやすいです。

また、個人でローデータが用意できない場合でも上のサイトでは会員登録すればローデータをダウンロードできるレポートがあります。

IA(Information Architecture/情報設計)

UIを考えていく上でデザインよりも優先度が高く、最終的にUXにまで影響を及ぼすのが情報設計(IA)です。どんなにきれいでかっこいいUIデザインができたとしてもそもそもの情報設計、どの領域に何の要素が配置されていればもっとも使いやすいか、が考慮されていないとユーザー体験は最悪となってしまいます。

IA100 ユーザーエクスペリエンスデザインのための情報アーキテクチャ設計

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  • 作者: 長谷川敦士
  • 出版社/メーカー: 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社
  • 発売日: 2009/10/28
  • メディア: オンデマンド (ペーパーバック)
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実際にアプリやWEBサイトを作りつつ経験則的に学んでいくのもありですが、一度網羅的にIAに関することを頭に入れておくだけで設計においてやってはいけないことがわかったり、行き詰ったときのヒントになったりします。

また、何もアプリとWEBサイトだけでなくあらゆるものへ応用が効きます。フライヤーデザインなんかも結局はIAに収束しますし、他にもアナログなプロダクトのユーザインタフェースに共通することもあります。

IAができると言えるデザイナーは強い。

次世代プラットフォームでの開発

VR/MR/ARといった次世代プラットフォームでの開発についてキャッチアップしていくことも重要です。プラットフォームは特性にもよりますがおおよそ5〜10年で変わると言われています。

次に普及するであろうプラットフォームのVRでは、今までのUI/UXのノウハウが通用しません。事実、私がHTC Viveを体験したとき、独自のコントローラを使用してユーザーにどう行動させるか、画面遷移はどうするかなどが全く新しく、コンテンツやユーザー体験を考えていく際に今までのスマホでのネイティブアプリやWEBサイトのノウハウが一切使えませんでした(当たり前ですけど)。

今後VRが爆発的に普及してそこで初めて制作をはじめ、VR独自のノウハウを蓄積していくよりも、今から少しずつでも扱っていざVRコンテンツ制作案件が増えたときに「私ノウハウ持ってます」と素早いスタートダッシュが切れるとデザイナーとしての市場価値は高いです。

導入コストも高いですし直接お金に結びつかないのでなかなか時間を取るのは難しいですが、未来への投資という点では無駄にはならないのかなと思います。

個人的にはHoloLensが今一番アツいなと思っております(めちゃ高い)。

最後に

基本的に全て私が身につけたいスキルたちだったのですが、何も全てができるフルスタックデザイナーになるべきだというわけではありません。自分がデザイナーとして市場価値を上げていくには何かに特化したスペシャリストよりも「デザイン×エンジニアリング」「デザイン×リサーチ」「デザイン×データマイニング」のような掛け算で、問題解決能力が高く、広い領域で活躍できるジェネラリストになった方がいいと感じているからです。

仕事以外の場面で上述したようなスキルを伸ばしていくのはなかなか骨が折れますが、常に向上心を持って5年後でも大きく活躍できるデザイナーでありたいです。